倒産,民事再生,自己破産の違い

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2020年10月12日

1 倒産の増加と用語の整理

 新型コロナウイルスの流行以来,多くの会社が倒産に追い込まれています。
 このページを読まれている方には,会社の借金・資金繰りに困って,残念ながら倒産を現実的な問題として考えている方も少なくないと思います。
 まず,会社の借金・資金繰り問題の解決には様々な方法があり,弁護士に依頼しなければほぼ不可能なものに自己破産や民事再生がありますが,これらと倒産という用語を整理しておこうと思います。
 用語を正しく理解することは,解決方法を決めるうえで非常に重要になるからです。

2 倒産は広い概念で,民事再生も自己破産も含む

 まず倒産は,誰もが知っている用語であると思いますが,法律の用語ではありません。
 東京商工リサーチや帝国データバンクでは,以下の場合を倒産としてカウントしています。
 ① 6ヶ月以内に2回目の銀行取引停止処分
 ② 裁判所に,会社更生,民事再生,破産,特別清算の申立てをした
 ③ 私的整理など
 ①は,いわゆる手形不渡りです。
 倒産は,裁判所に申請して借金を減額したり0にする法的倒産と,裁判所が関与せず,金融機関等の債権者と話し合いをする私的倒産に分かれています。
 ②は法的倒産を,③は私的倒産を指しています。
 ②の中に自己破産と民事再生が含まれており,自己破産や民事再生が倒産の一種であることが分かります。
 法的倒産は,裁判所を通じて細かいルールを守ったり,多くの説明や資料提出が必要ですので,弁護士に依頼せずに行うことはほぼ不可能です。

3 民事再生とは

 民事再生は,裁判所に申請して,借金を減額して長期分割で支払っていく制度です。
 有名な会社では,衣料品販売のレナウンや航空会社のスカイマークが行っています。
 借金は,持っている財産全額(清算価値)まで減額することができ,返済期間は最長10年です。
 自己破産との一番の違いは,事業を続けながら返済することが予定されていることです。

4 自己破産とは

 自己破産は,裁判所に申請して,会社の財産をお金に換えて債権者に分配し,残った借金を0にする手続きです。
 民事再生との一番の違いは,会社の事業をやめることを前提にしていることと,借金の支払義務がなくなることです。

5 まとめ

 倒産にはいろいろありますが,裁判所を通じて手続きを行うことで,法的に借金の支払額を減らしたり0にできるのが,民事再生や自己破産の魅力です。
 事業を続けていくなら,民事再生は劇的に借金を減らせる点で,最後の手段とも言えます。
 借金が減っても事業を続けるのが難しい場合は,自己破産を検討することになります。

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